
「痛っ!」
重い荷物を持ち上げた瞬間、前かがみになったとき、靴下を履こうとしたとき、立ち上がったとき……。
突然、腰に強い痛みが走って動けなくなった。
そんな経験はありませんか?
いわゆる「ぎっくり腰」は、突然起こる強い腰の痛みのことです。
実は「ぎっくり腰」という名前は正式な病名ではありません。急に起こった強い腰痛を一般的にそう呼んでいます。
何か重いものを持ったときに起こるイメージがありますが、実際には、朝起きたときや、ちょっとした動作をしただけで起こることもあります。
そして大切なのは、
「腰が痛いから、とにかく寝ていればいい」
「痛いところを強く揉めば早く治る」
とは限らないということです。
今回は、ぎっくり腰になったときに「やってはいけないこと」と「どう過ごせばいいのか」を、中学生でもわかるようにできるだけ簡単に説明します。
そもそも「ぎっくり腰」って何?
ぎっくり腰とは、簡単にいうと、
「腰に急に強い痛みが出た状態」
です。
腰には、骨だけではなく、関節、椎間板、筋肉、腱、靭帯など、たくさんの組織があります。
そのため、「ぎっくり腰=この筋肉が悪い」と一つに決めることはできません。
腰の関節や椎間板、筋肉などに負担がかかって起こることがあります。
また、腰痛の中には、椎間板ヘルニアや骨折、感染症など、別の病気が原因になっている場合もあります。
そのため、
「いつものぎっくり腰だから大丈夫」
と自己判断しすぎないことも大切です。 (日本弁護士連合会)
ぎっくり腰になったときにやってはいけない5つのこと
① 痛いところを強く揉まない
腰が痛いと、
「誰かに揉んでもらおう!」
「強く押してもらったら治るかも」
と思う人もいるでしょう。
しかし、痛みが強く出ている直後は、腰の状態がわからないまま強い刺激を加えるのは避けたほうが安心です。
特に、
「痛いから、もっと強く!」
と我慢しながら揉むのはおすすめできません。
痛みがあるときは、まず身体を落ち着かせることを優先しましょう。
② 痛みを我慢してストレッチしない
「腰が固まっているから、伸ばしたほうがいい!」
そう考えて、前屈したり、腰をひねったりする人もいます。
しかし、痛みが強いときに無理やり腰を伸ばす必要はありません。
ストレッチは、
「痛いほど効果がある」
というものではありません。
むしろ、痛みを我慢して無理に動かすことで、つらくなる場合があります。
まずは痛みが強くならない範囲で過ごしましょう。
③ 痛みを我慢して運動しない
「腰痛は動いたほうがいい」と聞いたことがあるかもしれません。
これは一部正しいのですが、
「痛くても無理して運動する」
という意味ではありません。
ぎっくり腰になった直後に、痛みを我慢してランニングをしたり、筋トレをしたり、重い荷物を持ったりする必要はありません。
まずは痛みが強くならないようにすること。
そして、少しずつ動けるようになったら、できる範囲で普段の活動に戻していくことが大切です。
④ 急に腰を伸ばしたり、ひねったりしない
ぎっくり腰になると、
「腰を伸ばしたら治るかな?」
「腰が固まっているから、ひねってみよう」
と思うかもしれません。
でも、痛みが強い状態で急に腰を反らしたり、勢いよくひねったりするのは避けましょう。
動くときは、
ゆっくり、少しずつ。
これがポイントです。
ベッドから起きるときも、いきなり上半身を起こすのではなく、横向きになってからゆっくり起きるなど、腰に負担がかからない方法を試してみましょう。
⑤ 一日中ずっと寝ていない
ここは、昔の考え方と少し違うところです。
以前は、
「腰が痛いなら、とにかく安静!」
という考え方が一般的でした。
しかし現在は、明らかな重い病気などがない一般的な腰痛では、長期間ずっと寝たきりになることはすすめられていません。
厚生労働省も、ぎっくり腰を含む一般的な腰痛では、安静にしすぎるよりも、できる範囲で普段の活動を維持することが望ましいとしています。 (厚生労働省)
つまり、
「無理して動く」でもなく、
「ずっと寝ている」でもない。
痛みに合わせて、少しずつ動くことが大切です。
ぎっくり腰になった直後は、どうすればいい?
まずは、
「慌てない」
ことです。
痛みが強くて動くのが難しい場合は、無理に動こうとせず、自分が楽だと感じる姿勢を探しましょう。
例えば、
・横向きになる
・仰向けで膝を軽く曲げる
・膝の下にクッションなどを入れる
など、腰が楽になる姿勢を試してみましょう。
ただし、
「この姿勢が全員にとって正解」というものはありません。
人によって楽な姿勢は違います。
「この姿勢なら少し楽」と思える姿勢を選んでください。
そして、少し痛みが落ち着いてきたら、できる範囲で体を動かしていきましょう。
「冷やす?温める?」と迷ったら
ぎっくり腰になると、
「冷やしたほうがいいの?」
「温めたほうがいいの?」
と悩む人も多いと思います。
ここでも大切なのは、
「絶対にこれ!」と決めつけないこと。
冷やす・温めることだけで、ぎっくり腰の原因そのものが治るわけではありません。
自分にとって楽になるかどうかを一つの目安にして、無理のない方法を選びましょう。
ただし、痛みが強い場合や、症状がいつもと違う場合は、自己判断で長く様子を見るのではなく、医療機関に相談することが大切です。
こんな症状があったら要注意!
ここは、ぜひ覚えておいてください。
腰痛の中には、単なる筋肉の疲れなどではなく、別の病気が隠れていることがあります。
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
⚠️ 足にしびれがある
腰だけではなく、足までしびれている場合は注意が必要です。
⚠️ 足に力が入りにくい
「歩きにくい」
「足に力が入らない」
などがある場合は、放置しないようにしましょう。
⚠️ 痛みがどんどん強くなる
時間が経つにつれて、どんどん痛みが強くなっている場合も注意が必要です。
⚠️ 発熱がある
腰痛だけではなく、熱が出ている場合は、別の原因が隠れている可能性があります。
⚠️ 尿や便に異常がある
尿が出にくい、尿漏れがあるなど、排尿・排便に異常がある場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
日本整形外科学会も、安静にしていても痛みが軽くならない、痛みが悪化する、発熱、足のしびれや筋力低下、尿漏れなどがある場合は、放置せず速やかに整形外科を受診するよう案内しています。 (日本弁護士連合会)
「ぎっくり腰だから大丈夫」と決めつけない
ぎっくり腰のような急な腰痛でも、原因は人によって違います。
中には、椎間板ヘルニアや骨折などが原因の場合もあります。
だから、
「前にもなったから今回も同じ」
とは限りません。
特に、
今まで経験したことがないほどの強い痛み
が出た場合や、
しびれ・力が入りにくい・発熱などを伴う場合
は、専門家に相談することをおすすめします。
ぎっくり腰を繰り返さないためには?
痛みが落ち着いてきたら、今度は「なぜ腰に負担がかかったのか」を考えてみましょう。
厚生労働省は、腰痛の原因となる要素として、重い物を持つこと、腰を深く曲げること、長時間同じ姿勢を続けることなどを挙げています。 (厚生労働省)
日常生活では、次のことを意識してみましょう。
① 重い物を持つときは、腰だけで持たない
重い荷物を床から持ち上げるとき、腰だけを曲げて「よいしょ!」と持ち上げていませんか?
荷物を体に近づけ、膝を使いながら持ち上げることを意識しましょう。
② 長時間同じ姿勢を続けない
デスクワークなどで、何時間も同じ姿勢になっていませんか?
ずっと同じ姿勢を続けるのではなく、時々立ち上がったり、姿勢を変えたりしましょう。
③ 腰が疲れているときは無理をしない
「今日も忙しいから大丈夫!」
と無理を続けると、身体からのサインを見逃してしまいます。
「腰が重い」
「いつもより疲れている」
と感じたら、一度立ち止まって休憩することも大切です。
④ 痛みが落ち着いたら、少しずつ体を動かす
腰を守るためには、腰だけを鍛えればいいわけではありません。
お腹、背中、お尻、脚など、体全体をバランスよく使えることが大切です。
ただし、痛みが残っている場合は無理をせず、自分の状態に合った運動について医療機関などに相談しましょう。
まとめ|ぎっくり腰で一番大切なこと
ぎっくり腰になったとき、
「早く治したい!」
と思うのは当然です。
でも、焦って強く揉んだり、無理にストレッチしたり、痛みを我慢して運動したりする必要はありません。
覚えておいてほしいのは、
「無理をしない。でも、必要以上に怖がらない。」
ということです。
痛みが強いときは、楽な姿勢で休む。
痛みが落ち着いてきたら、できる範囲で少しずつ動く。
そして、しびれや力が入りにくい、発熱、排尿・排便の異常など、いつもと違う症状があれば医療機関へ相談する。
これが大切です。
腰は、毎日の生活でほぼ必ず使う場所です。
仕事、家事、育児、買い物、スポーツなど、腰が痛くなると生活そのものがつらくなります。
だからこそ、
「痛くなってから何とかする」ではなく、「痛くなる前から身体を大切にする」
ことを意識してみてください。
「最近、腰が重いな」
「朝起きると腰がつらい」
「長時間座っていると腰が痛くなる」
そんな小さな変化も、身体からのサインかもしれません。
無理をせず、自分の身体と上手に付き合っていきましょう。
※この記事は一般の方向けに、ぎっくり腰についてわかりやすくまとめたものです。診断や治療を目的としたものではありません。強い痛みや、しびれ・筋力低下・発熱・排尿排便の異常などがある場合は、自己判断せず医療機関へご相談ください。



